なんて苛立たしい!製品を購入したら破損してしまった。返品しようとしたり、購入先の企業に赴いて修理してもらおうとしたが失敗に終わった。セールスマンと会話したり、管理者へ相談したり、事業者への手紙を書いたりしたが、事業者の返答に今一つ納得できない。
そんなときオンライン上の裁判外紛争解決手続(中立的な第三者が解決策を支援する仕組み)を試してみると良いのかもしれません。紛争の解決は裁判所に行くよりも早く、安価で労力が少ない場合があります。さらに、オンラインADRを用いると、全ての紛争をオンライン上で最小限のコストで解決することができます。
ある商品・サービスを購入する際、「裁判手続に行く前にADRを利用しなければいけない、又は裁判を受ける権利を放棄したものとする」と明瞭に規定する場合があります。購入する前に、販売の諸条件を確認しましょう。そして、地元の消費者保護機関に対し、「義務的」又は「拘束力を有する」ADRがあなたの国で法的に有効なものとされているかを確認するとよいでしょう。迅速に裁判を受ける権利を放棄したくないのであれば、他の事業者と取引をすべきでしょう。
どのような種類のADRを活用できるのか?
購入にあたっての諸条件を読んでください。一部の販売事業者は、紛争が起こった際には一つの種類のADRのみが活用されうると明記しているものもあります。
購入にあたっての諸条件においてADRに関する選択肢が制限されていない場合、自らADR手続を開始することができる場合があります。複数のADRプログラムを調べて比較し、自分の必要に最も合致したものを選ぶようにしましょう。
典型的なADRは、調停・仲裁・自動的な交渉を含みます。
- においては、調停者と呼称される中立的な第三者が、対話の促進を通じてあなたと他方の当事者間の紛争解決の試みを支援します。しかし、合意に至るかどうかは当事者次第です。妥協策を提示したり、解決策を見出することを通じて、活発に関与しなくてはなりません。
- 仲裁は、ヒアリングへの参加や証拠の提示を行ったり、相手方の証言について尋問したりすることはあるものの、裁判ほど形式ばった手続ではありません。これらのヒアリングはオンライン上で行われる場合もありますし、ウエブ会議上のプログラムの場合もあれば、書面で行われる場合もあります。調停とは異なり、仲裁者又はパネルは事案を受理し次第、決定を行います。決定は法的な拘束力を伴います。
- 自動化交渉は、コンピューターを用いた手続きであり、主に金額面における紛争の解決を図るために設けられています。手の内を見せない「せり」のようなシステムによることが多く、当事者はこのシステムを使い、相手方の提示内容を知らない状態で、合意に達するために金額の提示を次々に行います。お互いの提示金額が十分に近くなり、コンピューター・プログラムが解決案を提案できるようになると、手続は終了します。コンピューターから出力された結果については、法的拘束力を持つ契約になりうるので、自動化交渉の参加条件を注意して読むようにして下さい。
特定の形態のADRを選ぶ際にどのようなことを明らかにすべきか。
ADRのプログラムを選ぶ前に、以下の事項を明らかにすべきです。
- 事業者と直接問題を解決しようと考えましたか?通常、最もよい最初の行動は事業者に直接連絡することです。事業者は多くの場合、あなたの申立てについて迅速かつ効率的に処理してくれるでしょう。
- どのような救済措置を以って自分は満足できるのか?自分がどのような解決ならば受け入れられるのかを明確にしましょう。柔軟な姿勢を忘れないようにしてください。妥協が必要かもしれません。
- ガイドラインや行動規範等を遵守しているか。ADRの提供者は、一連のガイドラインや行動規範等に言及する場合があります。これは、そのADRシステムが一定のルールに配慮することに、任意に同意してきていることを通常意味します。ADRの提供者のウエブサイトで詳細を調べてみましょう。
- ADRに要する費用はどのくらいのものか。無料のADRも存在します。その他のADRとして、均一の料金のものやあなたの支払能力に応じたレートを設定するものが存在します。
- 母国語でADRの手続を進めることができるのかどうか。ADRの過程において、母国語を使用することができるかどうか聞いてみるとよいでしょう。通訳が利用できる場合があるかもしれません。その場合は、それに係る費用と通訳のスケジュールについて確かめてください。
- 必要事項と所要時間について。プログラムの詳細を熟読し、それらの諸規定に従う技術と時間があることを確認しましょう。殆どのADRシステムが、裁判手続よりも早いでしょう。ADRの形式やあなたの選択にもよりますが、手続は電子メールを交換するものからウエブキャムを通じて全ての関係者が参加するものと多岐にわたります。
- プログラムの機密性について。プログラムが機密保持を保証するものであるのかを明らかにしましょう。機密保持があなたにとって重要である場合、プログラムに関与する前に詳細を把握するようにしましょう。
- 調停者、仲裁者を選定できるのか。中立的な第三者を選定するリストを提示される場合があります。これらの者があなたにとって重要な意味を有する場合、どのようにして仲裁者が選定されるかを明らかにしましょう。
- プログラムの中立性。中立性を確認するため、運営資金の拠出主体、運営主体の独立性を明らかにしましょう。
- 結果に従う意思があるか。調停は一般的に拘束力がありませんが、仲裁は事業者・双方の当事者にとって拘束力がある場合があります。結果に拘束力があった場合、その結果に不服であった場合も、事業者を裁判で訴えることはできません。ADRの利用によって消費者が裁判を受ける権利を剥奪することは認められていない国もあります。
- プライバシー規約が提供されるか。ADRの提供者がプライバシー規約を提供するか、そうでない場合は自分の個人情報が利用されることがあるのか、どのように利用されるのかについて明示しているかを考慮しましょう。
- 詐欺その他の違法行為の存在が疑われるか。そのような場合は、 econsumer.gov の苦情の報告の様式 に従って、苦情を報告し国/地元の消費者保護機関・データ保護関係機関に御相談ください。